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マユタテアカネ 大収穫

 2018年10月13日、天気予報は曇天。予想最高気温は20℃。
 朝、頭上は鱗雲がびっしり。東方の空が薄明るくなったが日は出なかった。蜻蛉観察は諦めて、久々の丘陵散歩をすることにした。
 数箇月ぶりに靴を履き、風が冷たそうなので冬季用のパーカを着て、藪漕ぎ用のスパッツを着けて出かけてみた。

 通り道なので、昨年の9月下旬にアキアカネ(秋茜)の産卵を観察した田圃を覗いてみた。この田圃、10月7日の夕方に通ったら防鳥ネットを撤去したところだった。それで、既に稲刈りは済んでいるのではないかと思っていた。
 ところが、稲刈りは2/3程度しか終わっていなかった。天候の都合で稲刈りが順調ではなかったのかも知れない。

 曇天であったが、その田圃を覗いてみた。道脇の畦にアキアカネ♂が2匹。それと、ミヤマアカネ(深山茜)♀が見えただけだった。アキアカネとミヤマアカネの証拠(記録)撮影を始めたら、アキアカネの尾繋がりが西の方へ飛んでいった。
 そこで、眼を凝らして田圃を見たが、やはり蜻蛉の姿は見えなかった。その時、薄日が射した。その瞬間、蜻蛉がわさわさと出てきた。ほとんどがアキアカネで、稲穂や稲の葉に隠れるようにとまっていたのが、薄日と共に飛び出したのであった。
 よくも隠れていたなと思いながら眺めたら、あちこちで交尾が始まった。交尾場所は稲の葉や稲穂であった。

 そんな中、交尾態であちこち飛び回り、畦で交尾を始めた組があった。そっと近付くとナツアカネ(夏茜)であった。畦の刈られた草の上で交尾をしていたが、途中で移動し稲の葉で交尾を続けた。
 ナツアカネが交尾を続けている間に数組のアキアカネの連結が産卵場所を求めて田圃から飛び去った。一方、ナツアカネは交尾が済むと連結となり、そのまま産卵を始めた。稲穂の上や間を飛び回り産卵は10分余り続いた。

 と、初めの道草観察がきっかけで、いつの間にか、丘陵散歩の気持ちは薄れ、蜻蛉観察の散歩(野周り)に移行していってしまった。履物が長靴でなく靴なので踏み込める場所は限られていたが、それはそれで構わなかった。
 天気の方は曇天の時間が圧倒的に長く、観察をしていた5時間の間の日照時間は延べで50分間だった。なお、日照時間については最寄のアメダスの記録から積算した。

 前置きが長くなってしまったが、ここからが「マユタテアカネ 大収穫」の本文。
 その日は履物の都合で湿地には踏み込めないので、地面の乾いた場所を巡った。私だけが「蜻蛉林(とんぼばやし)」と呼んでいる雑木林(ざつぼくりん)がある。その蜻蛉林にお婆さんぽいマユタテアカネ(眉立茜)がいた。

 往きに小さな蜻蛉の存在に気付いた。その蜻蛉は私が踏み込んだので飛び上がった。曇天で明るさがなく静止のままでいれば気付かなかったような小さな蜻蛉だった。
 やけに黒っぽいので、何蜻蛉だろうと思ったが、翅端部のノシメ斑と前額の鼻斑からマユタテアカネ♀と判った。その蜻蛉は復路も同じような所にいた。
 同じような所にいたので、観察してみたら、せっせと餌捕りをしているところだった。

 静止状態からヒョイと飛び上がると別の場所に着地していた。そんな動作を繰り返していた。せっせと餌捕りをしているをしているのは明白だったが、着地場所が草や葉の陰だったりして、確認は出来なかった。
 ようやく撮影可能な場所に着地してくれたので、どうにか摂食場面が撮影できた(画像 1、2 )。

マユタテアカネ 大収穫_b0400130_23142167.jpg
画像 1 大きな餌を食っているマユタテアカネのメス  

 体の小さいマユタテアカネにしては大きな餌をくわえて食っているところだった。捕獲された虫は、長めの触角に5箇所以上白色帯のある、だんだら縞模様を持っていた。
 ほとんどの場合、一口で収まり、もぐもぐしている姿しか見かけないが、この時は大物で口に収まりきれていなかった。

マユタテアカネ 大収穫_b0400130_23152513.jpg
画像 2 獲物を食っているマユタテアカネのメス  

 画像 1 の状態から8秒後には片方の触角がかろうじて残り、餌の体も口外に見える部分は短くなっていた。曇天で北風が吹いていたので撮影は順調でなかったが、時間計測のため食いきるまでを撮影してみた。
 画像 2 から1分38秒後、最後の脚が1本写っていた。さらに12秒後、完食したようだった。体色が濃くなってきてお婆さんぽかったが、彼女は次の産卵に備えての摂食に余念がなかったのであろう。

   ---   おまけ アキアカネは早食い
 蜻蛉林ではオオアオイトトンボ(大青糸蜻蛉)の姿も探してみた。ところが、気温が低く蚊が寄ってこなくて好条件だったが、曇天で明るさが足らかった。結局、眼が疲れるので探索は諦めた。
 蜻蛉林の後、オオアオイトトンボが産卵する、枝が池面に張り出した場所も見てみたがオオアオイトトンボの姿は見出せなかった。ほとんど曇りで、北風が吹くような日は糸蜻蛉探しには条件が悪かった。
 オオアオイトトンボの姿はなかったが、アキアカネの姿は多かった。日が当たれば暖かそうな場所にそれぞれが陣取り、時々、餌獲りをしていた。
 
マユタテアカネ 大収穫_b0400130_23160743.jpg
画像 3 アキアカネのメス   

 ちょうど薄日が射したので、近くの蜻蛉を撮った。画像を確認すると、アキアカネのメスで餌を食いきるところだった。彼女の餌となった虫はそれなりに大きかったと思われる。長い脚が1本残っていた(画像 3 )。
 連射の次の駒では、長いと思った脚がほとんどなくなっていた(画像 4 )。画像のタイムスタンプから1秒以下の出来事の早食いと確認できた。このアキアカネのメスも恐らく次の産卵に備えての摂食に余念がなかったのであろう。
 
マユタテアカネ 大収穫_b0400130_23163435.jpg
画像 4 完食直前のアキアカネ  


10月15日、終日曇りで気温は上がらず、お風呂がご馳走に感じた日であった。





 




by ympc2014 | 2018-10-15 23:30 | 捕食

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