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死を待つアキアカネのオス

 2020年、この10月はよく雨が降る。それも冷たい雨が降る。
 10月18日、朝の用事が済んだので雨上がりの野周りに出かけた。

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画像 1 雨に打たれたアキアカネ 蟻に襲われている  


 いつもの水路を覗くと、飛び回る蜻蛉や、メス待ち蜻蛉の姿がないようだった。
 この水路、1週前は季節なりに賑やかで、枝先は雌待ちアキアカネ(秋茜)達が陣取り、水路上はオニヤンマ(鬼蜻蜓)の雌探しの巡回低空飛行。それと、この場所では珍しく、ミヤマアカネ(深山茜)のメス待ち・交尾・産卵などが観察できた。

 そんな今日の水路だったが、日陰の場所で足元に、翅が露に濡れたアキアカネがべったりと止まっているのに気付いた。寒くて飛べないのだろうか。と、思いながらファインダを覗くと、蟻に襲われていた。複眼は生体のようだが、既に死んでいるのかと思った。が、蟻が嫌だったのか前脚が動いた。
 また、ファインダを覗くまでは翅が露で濡れたのかと思ったが、大きな水滴もあるので雨に打たれたのだと気付いた。

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画像 2 飛べないアキアカネ ♂ 腹部にも蟻がいる 


 そして、このまま蟻の餌食ではかわいそうと思い、薄日の当たる多少暖かな場所に移した。40分ほどして様子を観ると、翅は乾き、触ると脚が動いた。

 上がり際に様子を見ると全く動かなくなっていた。暖かそうな場所に移動してから4時間ほど経っていたが、同じ場所にいたので、風が静かで飛ばされることもなかったようだ。


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画像 3 全く動かないアキアカネ   


 事のついでなので体長測定と思ったが、簡易装備だったので、近く用眼鏡、コンベックスなどがなかった。そこで、記録撮影だけでもと思い撮影を始めた。
 ところが、近接用カメラが不調で撮影が中途になってしまった。


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画像 4 アキアカネ ♂  


 この水路はアキアカネの観察点のひとつ。今年は、6月15日から羽化。そして、この辺りのアキアカネは越夏地へ旅立ち7月5日で一旦終見。9月11日には越夏地での避暑から戻り、この辺りならびにこの地点で9月27日から繁殖活動。
 今日は尾繋がりが2組やって来て、1組は水路脇の水溜りで産卵をしていた。もう1組は水路が気に入らなかったと見えて隣の湿地へ行ってしまった。水際の草地にメス待ちのオスが2匹いたが、私が見ている間にはメスは現れなかった。いずれにしても。アキアカネ達は10月18日現在、現役で活動中である。

 なお、この水路、昨年(2019年)は11月9日の連結産卵でアキアカネの終見だった。

 今日のオス、何かのアクシデントで雨宿りに失敗したのだろう。が、何事もなく生きたとしても、前年と比較すると、この地ではあと20日ほどの寿命しか残っていなかったのである。





by ympc2014 | 2020-10-18 21:00 | 蜻蛉の日々

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